趣味で歌と小説と詩を掲載させていただいてます。

桜童子 第16話



鬼の「あおい」はこの世の鬼。

 東京の街に暮らす鬼。

 過去の記憶にもがいている。













 過去の記憶は遠い記憶。

 星の生まれた頃の記憶。







 太古の星の水の記憶。

















「水の記憶の文章」  

 太古の星には、岩に染み入った水があるのみで、海はまだ無く、溶けた岩の世界だった。

   そこに天人が龍を連れてやってきて、この世に大雨と嵐をおこした。みるみる大海が出現し、この世の表面が冷える前に、棒ですくって島をつくった。
 日出づる国の誕生である。

   天人たちはそうやって、自分でつくった島国で、しばらく遊んで暮らしていた。


   天人たちの住まう星には、必ず龍を連れて行く。
 龍を連れて行かないと、星に命を吹き込めない。水が巡り始めてやっと、星は命を宿すのだ。


 死んだ星には暮らせない。命が住まうところではない。

 星を殺すのは大罪だ。それを自滅と申すのだ。




「展開」

 荒ぶる星は幾度も荒れて、命の進化を促した。
 天人たちは星がおさまると、やってきては遊んでいった。

 天人たちはそうやって、人が生まれるのを待っていた。

 霊性を持った獣の中に、霊性に長けた猿がいて、その猿の記憶を書き換えて、水の星に人をつくった。
 天人の血と獣の血で、自分たちに似せた人をつくった。

   人は天人と会話をしながら、星の声にも調和した。
 星の奏でる音を聴き、大地の声を聴いていた。
 昔の人と天人は、そうして星と対話して、千年、万年、遊んで暮らした。

 やがて弥生の風が吹き、定めのように分かたれる。北と南に追われながらも、星の声を聴くものたちは、今も確かにこの世にいる。





















     あたしはビルの屋上から、光る東京を見ている。喧騒に囚われた、忘却の神の子たち。


   神の子たちは迷いの果てに、確かなものを見つけるだろうか。



   あたしもずっと迷いの中で、我を忘れて生きている。
 あたしはこの迷いの果てに、確かなものを見つけるだろうか。


 あたしは今日の寝ぐらに戻り、携帯のアプリで日記を「保存」する。
 そして間も無く静かに眠る。

 龍が奏でる音が聞こえる。人間にも聞こえればいいのに。そしたら思い出すだろう。いろんなことを。龍の記憶を。

 もしも思い出したなら、馬鹿騒ぎを今すぐやめて、静かに一度立ち止まればいい。


   そんなことを思いながら、あたしはあたしの今日の寝床で、孤独な眠りに落ちていくのだ。

 できれば、このまま眠りの果てに、もっと静かな眠りにつきたい。




 でも、もしも眠れないのなら、あたしはもっと生きたいのだ。

 
 もしもそれが叶うなら、それを願いにしたいのだ。

 生きることが許されるなら、あたしは生きていきたいと願うのだ。

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