趣味で歌と小説と詩を掲載させていただいてます。

夜の公園(水色)


夜の公園(水色)  深夜の巨大な公園は人気が無くなったのを見計らったように、うるさいくらいに、ざわめき立っている。
神経を研ぎ澄ました草木は、太陽が沈んでから地中深く根を下ろす。
その音が聞こえる。
草木は一斉に土を喰らい、水を吸い上げる。
夜の闇が地中ならば、深夜闇に向かって神経の根を延ばす自分は、草木と似ているなと思う。
あおいは夜が好きだと言った。夜から朝へ、いつも始まりは闇からだと。闇の中に手を延ばすと光りに触れるような気がする。  「夜中でも花は咲いているのよ」とあおいが言った。
白い小さな花が足元のあちこちに咲いている。夜中に花が咲いているなんて、少し不思議な気がした。当たり前のことだけれど、花は、人に見られるために咲いているのではないのだ。自分の生命の証として、花は誰もいない公園でその白く輝く花を咲かせるのだ。  夜が明けたら朝露で溶けてしまいそうな輝きだった。  花に混じって硝子の破片が落ちていた。水色の磨り硝子の破片だ。白い花の中のその水色は、何故か景色の中で、一番自然な色をしていた。  あおいは水色の硝子を拾い上げた。手の中で光る硝子の破片は、リンのように、周りの何よりも、異質で美しかった。  リンは、深夜の公園の澄んだ濃厚な空気を胸いっぱいに深呼吸した。湿った、重い、空気だった。土の匂いがした。あおいに林の中の不思議な世界を見せてあげたいと思った。  あおいは水色の硝子の欠片を街灯に透かして眺めていた。何かその中の秘密の模様を捜しているかのように。  リンは、そんなあおいを見て、自分が感じた不思議なんて、あおいはもうとっくに知っていると思った。そんな感覚はあおいの周りから、揺らめき、立ち込めている。あおいも、あんな『声』を聞くのだろうか。そして、消えてしまいそうな自分を、その膜で遮断し、存在を守ってくれるのだろうか。  あおいは、硝子の破片をひとしきり眺めると、リンに手渡した。そうだよ、わかってるよ、リン、あなたのように、『声』は聞こえないけど、私は、この硝子片のように、いくら雨に打たれようと、風にさらされようと、土に中に埋もれようと、削られても、何も変わらず、自分であり続ける。  ただ、黙って、手渡されただけなのに、リンはあおいに、そう言われたたような気がした。

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