趣味で歌と小説と詩を掲載させていただいてます。

種 第6話 Seed Episode 6




第6話


「それをやった時と、やらなかった時で、何が違うのか。人間が、自然に対して何かをやった時と、やらなかった時は、結果として大きく違ってくるのだろうか。短期的に見れば大きな違いがあるだろうけど、長期的に見れば、何も違わないと思う。放射能が大量に自然界に拡散されて、被爆した動物は人間も含めて大量に死んだ。海でも山でもね。でも生き残る個体もいる。多様化した生き物は、何か一つの原因だけでは決して死に絶えない。放射能汚染にも適応する個体が出てくる。それまでの環境の中でデメリットだった部分が、環境が変わることでメリットになるんだ。放射能はその個体にとっては大きなギフトだったんだ。進化はそうやって起こるんだと思う」と菊蔵は言った。

またここにも話し始めと、話しの終着点がまるで一致しない人間がいた、と貴子は思った。「菊蔵さん、進化の話しなの? それとも、やった時とやらなかった時の話なの?」
菊蔵はハーブティーを一口飲んでから言った。
「そう話の筋道をはっきり立てて話をしなくてもいいんじゃないかなと思うんだ。話は思考の流れだよ、それはとても自然なことで、無理に変えないほうがいいと思うんだ」
「でもやっぱり会話っていうのは独り言じゃないんだから、相手の思いや思考も考慮する必要があるわ。キャッチボールが成立して、初めてそれは会話っていうんだと思う」
「もちろんそうなんだろうね。俺だって何も考えていないわけじゃない、相手の事も考慮する。進化の話をしないほうがいいなら、それを無理にはしない。ストレートにそう言ってくれればいい。貴子さんは、そういう意味ではすごくストレートな言い方をするね」
「そういう性分なのね。職業的なこともあるかもしれないけれど、会話の中に答えを導き出したいと思うのよ。例えば『やった時とやらなかった時』という話の結論を、会話の中から見つけたいの。セッションによる発見。一人では導き出せなかった新たな発見みたいなもの。そういうことを会話に求めてしまうの」
「俺とはぜんぜん違う感覚だね。俺は会話をもっとリラックスした方向で考えている。答えや結論は不確定なものだと思う。それを導き出しても、それが確定的なことだとは言えないんじゃないかな。俺はやってもやらなくても、長期的に見れば何も変わらないと思っている。自然は、常にあるべき姿に戻ろうとしていると思うんだ。街はどんどん自然に飲み込まれていく。ここも数十年したら森になっているかもしれない」

「人間がいくら自然にインパクトを与えても、自然にとっては、それはそれほど大したことではないってこと?」
「長期的に見ればね。でもその答えも、確定的なことではないと思う。もしかすると、何かが取り返しのつかないことになってしまうのかもしれない。そしてそれは環境にとって、というか、この地球にとって致命的なダメージを与えることになるのかもしれない。想像すればきりがない。世界は、何だって起こり得るんだ」
「放射能が蔓延したこの世界で、生き残る人間もいるのかしら? 耐性みたいなものを獲得して」
「もともとあった耐性が、そういう環境になった時に開花するんだろう。人間の中にも環境に対応していく人がいるんだと思う。遺伝としてそれを子孫に残しながら、今の環境を生き抜くんだ」
「でもそれも不確定な結論なのね?」
「もちろん。もしかしたら人間は死に絶えるかもしれない。それは誰にもわからない。未来自体が不確定だ。何も決まっていない。さっきも言ったけど、何だって起こり得る。時間は続いているものじゃないかもしれないしね」

貴子はタイムスリップしてしまったことを思い出していた。

「時間が続いていないって、私がこの未来に来たことも関係しているのかしら?」
「貴子さんが言っていることが本当なら、それを証明していることになる。時間は続いていないってね。時間が必ず続いているなら、貴子さんはここにはいない、時間軸を踏み外すことはない。だから会話に結論を求めても意味がないとも思う。もっとリラックスして楽しめばいいんじゃないだろうか。娯楽の一つとして」

貴子はそのことについてしばらく考えた。時間が続いているのなら、タイムスリップなんてするはずがない。それなら説明がつくかもしれない。 でもそれも確定的なことではない。

「よくわかったわ。菊蔵さんには結論を導き出すとか、そういうの期待しないようにする。お互いに、それは個性っていうものだものね。無理に合わせる必要もないと思うわ。このままでも割と、会話は成立しているみたいだし」
「そうだな。貴子さんははっきりと言うタイプみたいだから、俺も本音を出しやすい。でも失礼だけど、もう少し柔らかい感じがあるといいと思う。女らしさというか」
「変なこと言うようだけど、私の魂は男性なの。今は女性に生まれているんだけど。そのことも私は思い出したの。だから女性らしいところがあまりないんだと思う」
「そうなのか、俺もそれを考えてたことがある。人間には男性性と女性性が共に備わっていると思うんだよ。俺は女性性が自分の中では多くを占めていると思うんだ。あくまでも精神的な面での話だけどね。子供の頃から男よりも女の方が話しもしやすいし、楽なんだよ、友達になるには。女は感情の生き物だと思う。俺もそういう感じだし」
「良かった。じゃあこういう話は通じるのね。それはとてもありがたい。私ももう少しリラックスできると思うわ。私は感情よりも理論を重んじると思う。説明しにくいけど、揺るぎないものや物事の真理は感情ではなくて理論や法則にあるんだと思うの」
「理論や法則は感情を排した、どちらかというと数学的なものだね。感情は女性的で文学的なものだ。ふわふわしている。数学的なものは硬い。デジタル的とも言えるかもしれない。そして、その男性性には攻撃性も含まれる。女性性にはない『戦う』っていう闘争本能の表れなんだろうけど、男性は女性よりも肉体がタフで強いからね。でもそれが会話の中に混じると、争いごとや諍いの原因になる。会話には女性性を表に出したほうがいいと思うね」
「男性は肉体がタフで強い分、精神は弱いと思うわ。私の知っている人は皆んなそんな感じがする。女性は精神的には男性よりもタフなんだと思う。男性も女性もそういう意味でフェアーなんだと思う。その菊蔵さんの花柄のズボンは女性性の表れなの?」
「それもあるかもしれないが、俺は花柄をカモフラージュ柄というカテゴリーで見ている。緑と茶色のマルチカム柄も花柄も、俺の中ではどちらもカモフラージュ柄なんだ。自然に溶け込むデザイン。自然のデザインだと思う。チェック柄とは対照的なんだ」
「私はチェック柄は割と好きよ。牧歌的な感じがするし、攻撃的なイメージがない。チェック柄を着た兵隊さんなんていないでしょう。迷彩柄はどうしても戦争をイメージしてしまうのよ、感覚として」
「迷彩柄は、柄としては一番自然に近い柄だし、曲線的で見ていて飽きない。それはとても複雑な模様で、柄によってはそれは森そのものなんだよ。森を体にまとっている気分になるんだ。優れたものや美しいものは、時として戦争に利用されることがある。戦いの中で生き残るには、本物の道具や装備が必要だからね」

「戦争はもう起きないと思うわ。もう誰も戦争をしたいとは思わない。一部の企業以外はね。でもそこで働く人も戦争をしたいとは思っていないはずよ。戦争がどういうものなのか、もう皆んな知っているから」
「そうだね。世界からは戦争はなくなった。災害が頻発し始めてからはね。人間はそれどころではなくなった。そんなことよりも、やらなくてはいけないことがあったんだ。生き残るためにね」
「結果として、それは良かったのよね。人間同士争っている暇はないってことで、協力し合わないと生きていけない状況になった」
「災害が『分断』を停止させたんだ。個人主義から全体主義に。災害からの教訓は、分断意識を持った人間は生き残れない、ということだと思うんだ。そして個性はそんな時にとても際立ってくる。何もかもが満遍なく得意な人間よりも、何かに特化して偏った人間の方が専門的なことに突出している。そんな人たちは皆んなの役に立ったんだ」
「役割ということね。ナイフはナイフ。スプーンはスプーン。それぞれに得意なことと不得意なことがある。すべてを備えたカトラリーは無い」
「ナイフは一応すべてを備えていると言えると思う。扱いには注意がいるけどね」
「だんだんマニアックな感じになってきているようだけど、菊蔵さんはどんなお仕事をしていたの?」
「俺は植木屋だったんだ。庭の手入れをしたり、木を植えたりする仕事だよ。ハサミやノコギリ、ナタやナイフが俺の商売道具だった。ハサミやノコギリはとても複雑な道具なんだ。手仕事では作れない。鉄や鍛冶にも精通していなくてはいけないしミリ単位の精巧さも要求される。ナイフは一番シンプルな道具だ。尖った石みたいにね」

貴子は話が大きくずれていると思ったが、初めに何の話をしていたのかを思い出せなかった。 まあいいか、と思った。 女性性に寄りかかってみよう。女性は感情の生き物だ。心に従って生きている。


「できたよ」と言って菊蔵は野菜の味噌汁を茶碗に注いでくれた。貴子はそれを受け取った。野菜がたっぷり入った美味しそうな味噌汁だった。
「とても美味しそう。食べ物をどうしようかと考えていたの。この野菜はどうしたの?」
「庭に畑があるんだよ。それに、この辺りはどこにでもいろんなものが勝手に生えている。山菜も生えているし、野菜は零れ種で野生化している。一人ではとても食べきれない。街で家庭菜園をやっていた庭の野菜が、そのまま繁殖したんだ。場所にもよるだろうけど、食べ物なんて自然に任せておけばいくらでもできるんだって思うよ。農村に行けばもっと豊富に食料はあると思うよ。味噌も醤油もつくればいいしな」と菊蔵は言った。






Episode 6


"What is different between when I did it and when I did not do it, will it differ greatly as a result of human beings doing something against nature and not doing it as a result? There seems to be a big difference in the short term, but I think that nothing is different in the long term, a large amount of radioactivity was diffused into the natural world, and the bombed animals died altogether, including humans. There are individuals that survive, but diversified living things never die out due to one cause alone, there are individuals that adapt to radiation contamination.Demerit in the previous environment It was a benefit to change the environment because the environment changed.A radiation was a big gift for that individual.I think that evolution happens in that way, "Kikuzo said.

Takako thought that there were people who did not match the end points of the talks as they started speaking here. "Is Mr. Kikuji, a story of evolution, or is it a story when I did it or when I did not do it?"
Kikuso said after drinking a bite of herbal tea.
"I think that it is okay not to talk about the story of the story so clearly that the talk is a flow of thought, it is very natural, I think that it is better not to forcibly change it"
"But since conversation is not solitary, you also need to consider the thoughts and thoughts of the other party. I think that it is a conversation for the first time when a catch ball is established.
"Of course I guess that's not because I am not thinking about anything, considering the other party. If you do not talk about evolution, do not force it, just do it straight. Takako speaks in such a straightforward way in that sense. "
"It's such a sexual thing, although there may be occupational things, but I'd like to figure out the answer in the conversation, for example, the conclusion of the story" when I did it and when I did not do it " I'd like to find it inside. Discovering by session, something new discoveries that I could not bring out by themselves, asking for such a thing in conversation. "
"It's a different feeling from me, I think about the conversation in a more relaxed direction, I think the answer and the conclusion are uncertain.When I derive it, that is definite Even if I do it does not do, I think that nothing will change in the long run.I think that nature always is going to return to the form that the city is steadily more natural It will be swallowed into. "It will be forest again in decades also here."

"How much does man humans impact naturally, for nature it is not that big?"
"In the long run, I think that the answer is not deterministic, perhaps something may be irrevocable, and that is for the environment, this Perhaps it will cause deadly damage to the Earth, there is no imagination I can do anything, anything can happen. "
"Is there a human being who survives in this world where radiation is prevalent? Acquire something like resistance"
"I think that there is a person who responds to the environment also among human beings as it is the resistance that originally had it become such an environment.While leaving it as descendants as heredity, I will survive. "
"But is that also an indeterminate conclusion?"
"Of course it may be that human beings die out, nobody knows, the future itself is uncertain, nothing has been decided, I told you earlier, anything can happen, the time is not going on It might be, "

Takako remembered that he had time slipped.

"Is not time going on, is it related to the fact that I came to this future?"
"If Takako's thing is true, it will prove it, time will not continue.If time is always going on, Takako is not here, time axis is I do not miss it, so I do not think there is any point in seeking a conclusion in a conversation.I think I can relax and enjoy it. "As one of entertainment"

Takako thought about that for a while. If time continues, it can not be time slip. Then you may be able to explain. But that is not definitive.

"I understand well, I will not draw expectations from Kikuzo-san, I do not expect that kind of thing, each other, that is personality.I think that there is no need to forcefully adapt it, It seems that the conversation is established.
"That's right, because Takiko seems to be a type that is clearly clear, I can easily give out a real intention, but I feel rude but I think that there is a feeling a bit more soft, femininity"
"It seems weird, but my soul is a man, I am born to a woman now, I also remembered that, so I do not think there are so many feminine things"
"Well, I think I've thought about it, I think that men and women are both equipped with men.I believe that female sex occupies a lot in myself I think that it is a spiritual story to the last.Because it is easy to talk to a woman more than a man from a childhood, it is comfortable, to become a friend.I think that a woman is a creature of feeling. That's how it feels.
"Well, it's good, then I am very thankful for that stuff.I think that I can relax a bit more.I think that I will emphasize the theory rather than emotion.It is hard to explain, but the truth of unshakable things and things is emotion I think that it is in theory or law "
"Theories and laws are mathematical rather than emotional, emotions are feminine and literary, fluffy.Mathematical things are hard, it may be said that it is digital That masculinity also includes aggression.It is manifestation of a fighting instinct like "fight" not feminine, but men are more tough and stronger than women, but that is because of the conversation It is a cause of conflict and danger when mixed in. I think that it is better to put female sex on the table in the conversation. "
"Men think that the body is tough and strong, the spirit is weak, everyone who I know is such a feeling I think that women are more tough than men mentally.The men and women like that I think that it is fair in meaning, is the floral pants of Kikuzo's appearance of femininity? "
"Although it may be there, I am watching the floral pattern in the category of camouflage pattern.Both green and brown multicam patterns and floral patterns are camouflage patterns in me, a design that melts naturally. I think that it is a design of nature, as opposed to a check pattern. "
"I like the plaids relatively much, I feel idyllic and there is no aggressive image.The soldiers in the check pattern do not have anything.The camouflage pattern definitely imagines the war Okay, as a sense "
"Camouflage pattern is the most nearly natural pattern as a pattern and it does not get tired of being curved and it is a very complex pattern and depending on the pattern it is the forest itself.The mood that wears the forest in the body Excellent and beautiful things are occasionally used for war because we need real tools and equipment to survive in the battle. "
"I think that war will not happen anymore, nobody wants to do war any more, except for some companies, but people working there will not want to wage war what kind of war is Or since everyone already knows. "
"Well, there has been no war from the world, since the disasters began to occur frequently, human beings are not so much, there are things we have to do rather than such things to survive." < br> "As a result, it was good, it means that we do not have time to fight among people, and we have to live together unless we cooperate."
"Disasters have stopped" decomposition. "From individualism to totalitarian lessons Lessons from disasters are that people with disconnected consciousness can not survive and individuality is very striking at such times People who are biased towards something are more prominent in terms of professionalism than anyone who is even more proud of everything. Everyone was useful for everyone.
"A knife is a knife, a spoon is a spoon, there are things that are good and weak for each, there is no cutlery with everything."
"I think that a knife can be said to have everything for once, there is a caution in handling it, but it is not.
"It seems that it gradually becomes a maniac feeling, but what kind of work did Mr. Kikuji do?"
"I was a gadget, it's a job to care for the garden and plant trees.The scissors, saws, nata and knives were my business tools.Scissors and saws are very complex tools You can not make it with handicraft, you must also be familiar with iron and blacksmith and elaborate in millimeters.The knife is the simplest tool, like a pointed stone.

Takako thought that the talk was largely out of line, but I could not remember what we were talking about at the beginning. Well, I thought so. Let's lean on femininity. A woman is an emotional creature. I live according to my heart.


Kikushi pour the vegetable miso soup into the bowl, saying "I could do it." Takako received it. It was a delicious miso soup with plenty of vegetables.
"It looks very tasty, I thought of what to do with food.What was this vegetable?"
"There are fields in the garden, plenty of things growing everywhere in the neighborhood, wild vegetables growing wild, vegetables are growing wild, alone can not eat very much. The vegetables in the garden that was doing a family garden in the town breed, as it is, although it depends on the place, I think that you can do as much as you can leave food to nature.If you go to rural areas more abundant food I think that it is good to make soy sauce and miso, "Kikuzo said.

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