趣味で歌と小説と詩を掲載させていただいてます。

種 第2話 Seed Episode 2




種 第2話


街は六甲山から吹き降りてくる風に吹かれていた。風鳴りが唯一の音だった。
貴子は玄関の階段を降りて、庭先に出てみた。冬草がびっしりと蔓延り、少し荒れた様相をしていた。枯葉や枯れ草が吹き溜まりに堆積していた。

でもそれは、一連の植物のストーリーのようだった。風に吹かれて庭の隅やブロック塀の足元に吹き溜まった枯葉は、ここに木々が息づいていることを証明していた。

庭の木々の間から見える街の景色は、何も変わらないように見えたが、よく見てみると施設の窓のように割れた窓がいくつも見えた。もっとよく見てみると瓦屋根が崩れていたり、倒壊している家屋もある。

貴子は裸足のまま慎重に歩いて門のところまで行ってみた。

門の外のアスファルトがひび割れて、そこから草が生えている。視線を上げると、その道路の荒れ方は延々と続いていて、街路樹は伸ばし放題に枝を伸ばしていた。

人がいなくなってから数年は経っていそうな感じがする。

何かあったことは確かだ。災害か戦争か何かそんなものなのかもしれない。
子供達や職員はどうなってしまったんだろう、ここに居られない理由があって、別のところに移動したのかもしれない。 貴子は不安になる気持ちをぐっとこらえてポジティブな方向に気分を切り替えた。

大丈夫だ、きっとどこかで安全にいるはずだ。

施設の中に何か手がかりがあるかもしれない。
貴子は玄関まで戻り、戸を閉めてキッチンに向かった。
小南さんが食事日誌をつけていた。毎日の献立やレシピなどをメモしたものだ。そんなに大きくないノートで、いつもキッチンの引き出しにしまってある。

玄関の脇に下駄箱があったので何気なく扉を開けて中を見てみる。室内用のスリッパと職員のものらしいスニーカーが残っていた。
貴子は宝物でも見つけたような気持ちになった。
スニーカーは少し大きかったが、これでガラスをあまり気にせずに歩ける。
スニーカーを履いて、スリッパも片方ずつ両手で持った。そのままキッチンまでゆっくりと歩いた。
キッチンの作り付けの調理台は損傷もなく、引き出しも閉まったままだった。ステンレス製のその引き出しを開けてみると幾つかの食器とカトラリーが入ったままだった。
なんてラッキーなんだろう。何もないと思っていたので、当たり前にあるはずのものがあるだけで飛び上がるほど嬉しくなる。
その中に小南さんの小さなノートを見つけた。はやる気持ちを抑えつつノートを手に取る。

2018年9月6日 木曜日

そこで日誌は終わっていた。確か私が鏡の向こうの世界に行った日だ。日誌には朝食と昼ご飯のメニューが書かれていた。
晩ご飯のメモはない。
9月6日に何かがあったのか? 私が違う世界に行った午後に。
貴子はノートと筆記用具の入った筆箱を調理台の上に置いた。不思議なことに、この引き出しには荒らされた後はない。自分の部屋や子供達の部屋の様子と同じようなイメージを持っていたので意外だった。
もしかすると他にも何かあるかもしれない。貴子は調理台の別の引き出しや掃除道具入れやロッカーの中を探ってみた。
運良くかどうかはわからないが、エプロンと布巾数枚とブリキのバケツと竹の柄の箒、調理用の白の調理服があった。
すごくツイているかもしれない。調理服があったのは本当にありがたい。
貴子はその場ですぐに調理服を着込み布巾をポケットに入れた。エプロンで食器やカトラリーを包み、ノートと一緒にバケツに入れた。箒を片手で持って、さらに何かないか探してみることにした。調理室に置かれた大きな冷蔵庫を開けるとそこには何も入ってはいなかった。電源は切れている。冷蔵庫は真っ暗で、無意味な箱のようだった。
流しに行き水道をひねってみた。案の定、水は出なかった。
貴子はそれほど気落ちすることなく、事実をありのままに受け入れることにした。

水は出ない、電気も使えない。当然ガスも使えないのだろう。おそらくライフラインが機能していないのだ。
物は大方持ち出されている。そして今のところ誰もいない。

貴子は不思議と落ち着いていられた。ついさっきまで本当に何もないところに数ヶ月いたのだ。体は元の人間の体だが、着るものさえあれば何とかなると思った。
雨風はどこでもしのげそうだ。火も起こせるし暖は取れる。
今夜はこのままここに留まろう、バケツに枯れ葉や木の枝を拾ってきて、部屋で火を起こせばいい。窓ガラスは割れているし、建物は壁も床もコンクリートだ。

念のため、貴子は別の部屋も探索してみることにした。浴室、医務室、職員の宿直室、トイレ、事務室。貴子は施設のすべての部屋を調べた。
医務室に医療器具がいくつかあった。聴診器やステンレスのトレーやそんなものだ。それに白衣も見つけた。事務室には事務用の筆記用具や文房具や書類があった。小さなハサミと接着剤やホッチキスもあった。
紙の書類は燃料になる。植物は枯れてもそれ自体がエネルギーの塊だ。火をつけると熱を発する。

水は、近所の神社に井戸があったはずだ。水があるかどうか確認しておく必要がある。
貴子は数日この場所に留まれるように、必要と思われる事柄をざっと思い描いた。
思いついた事柄を小南さんのノートにメモした。 とりあえず今は、手に入れたものでなんとかなりそうだった。

この瞬間を生きるしかない。それはきっと、どこかに繋がっている。
私は死んではいない。生かされているんだ。
それはきっと、この世界の必然なんだ。 この世界がどんな世界であろうと、私はここに生きている。
ここは私の世界だ。私はここでやるべきことがある。

貴子は気持ちを生きる方向へと向ける。
それはシンプルな欲望でもある。

「生きることが目的なんだ」アキが言っていた言葉が真実味を帯びてくる。
この状況では、本当に「生きることが目的」になるかもしれない。
こういう時に思考は邪魔になることもある。思考はネガティブを連れてくることもある。それは何の助けにもならない。
ネガティブを思考するなんて、時間とエネルギーの無駄だ。
貴子は心の声と体の声を聞く。

不思議とあまり空腹は感じなかった。あちらの世界で食べ物以外からエネルギーを得る術をアキに教わったし、実際にそれは素晴らしいエネルギーの得方だった。
太陽に当たることもその一つだし、生き物に触れることもその一つだ。
太陽は無限のエネルギーを与えてくれる。生き物は太陽に生かされている。太陽の熱と光は目や肌から体に染み入って元気の素を養う。
生き物は触れているだけでエネルギーの交換が始まる。個々の壁を超えて交換と循環が始まる。そしてそれぞれが僅少を保とうとする。エネルギーの多い方から少ない方へと流れ始める。そしてエネルギーを分け合い、補い合う。
草木は根が絡まり、常に個々が手をつないだ状態で生きている。ネットワークは他のネットワークと繋がり、巨大なエネルギーネットワークを創り出す。
一本の木に触れると、その巨大なエネルギーに触れることができる。癒しのエネルギー。植物は動物と対極にあり、毒を抜き、安らぎを与える。そのエネルギーはとても静かで力強い。

貴子は得たものを、比較的荒れていないキッチンに集めて、そこを寝床にすることにした。1階にあり、出入り口が複数箇所あった。床のリノリュームの床材を剥がせば、すぐ下がコンクリートになっていて、バケツに入れた薪の火も燃やせそうだ。その気になれば流し台でも火が燃やせる。

貴子は調理服に白衣を羽織って庭に出てみることにした。枯れ枝をバケツに拾うことと、太陽の光に当たるためだ。自分の姿を客観的に見てみると、スニーカー以外は完全に真っ白で、冬毛の獣みたいだと少し思った。

貴子は白い出で立ちでまたそっと玄関を開けた。午後の太陽が惜しみなく庭を照らしている。そして最後に見た時よりも明らかに庭の木々は成長していた。数年間、誰も手入れをしていない感じだった。あたりには枯れ枝や枯れ草がたくさん落ちていた。

貴子は玄関のポーチに座ってしばらく荒れた庭を眺めた。凛太朗やちひろがよく座っていたところだ。二人はよくここに座って庭を眺めていた。学校にも行かず、二人の世界を構築するように何かを話していた。

あの二人に何か伝わるだろうか? 生きてどこかにいるとしたら、テレパシーのようなものが通じるだろうか?

貴子はアキに教わったようにあぐらをかいて瞑想してみることにした。行動を起こす前に一度、気持ちも落ち着きたかった。目を閉じて意識を丹田に向ける。体の中心でエネルギーの流れを感じる。

外からのメッセージと内からのメッセージが交差する。二人についてネガティブな感覚はない。なぜか心配するのには及ばないという気がしている。ただどこにいるのかが知りたい。
「あなた達は今どこにいるの?」
返答はない。誰の声も聞こえない。聞こえるのは自分の声だ。「あの二人は大丈夫、何も心配はいらない」貴子は自分に問いかける「二人はどこにいるの? 他の皆んなと一緒なの?」

無意識の声がする。
アキの声だ。

「『たまり』だ。『たまり』に皆んないる」
「『たまり』ってなに? どこにあるの?」
「『たまり』は龍の入り口なんだ。シキの中に潜り込むためのね」

私の無意識はそれ以上答えない。「『たまり』ってどこにあるの?」
「美和と待ち合わせた場所だよ」
私は無意識の記憶を探る。アキの記憶、葵の記憶。自分の無意識の記憶なんて、普段は手の届かないところにある。

貴子は無意識の領域へと旅をする。思考を止め、感覚のみを開く。音や温度、匂い、風。目を閉じて視覚以外の感覚を開く。ただ開く。何かを感じようとさえしない。

無意識は思考の範疇には存在しない。思考とは別のところにある。それは感覚の世界だ。

「六甲山なのね」貴子は浮かんできたインスピレーションをつなぎ合わせてその記憶を読み取る。

「そこに皆んないるのね」






Seed episode 2


The streets were blowing in the wind down from Rokko Mountain. The wind sound was the only sound.
Takako got off the stairs at the entrance and went out to the garden. The winter grass was richly spreading and had a slightly rough appearance. Dead leaves and dry grass were accumulating in the pool.

But it seemed like a series of plants stories. Dead leaves blown by the wind blown over the corners of the garden and the feet of the block fence proved that trees are breathing here.

The view of the city seen from among the trees in the garden seemed to have nothing changed, but when I looked closely, I could see a number of windows that broke like windows of the facility. Looking more closely, there are houses where the roof tiles have collapsed or collapsed.

Takako walked cautiously with barefoot and went as far as the gate.

The asphalt outside the gate cracks, from which grass grows. When I gazed at the line of sight, the road was roaring indefinitely, and the street trees were stretching out the branches freely.

I feel that it seems a few years have passed since people disappeared.

It is certain that something happened. It may be disaster or war or something like that.
I wonder what happened to the children and staff, maybe they moved to another place because there was a reason not to stay here. Takako got a sense of anxiety for a moment and changed the mood in a positive direction.

It's okay, it is surely safe somewhere.

There may be some clues in the facility.
Takako returned to the entrance, closed the door and headed for the kitchen.
Mr. Konan wore a diary diary. I made a note of everyday menus and recipes. With notes that are not that big, I always put them in the drawer of the kitchen.

Since there was a shoe box beside the entrance, we opened the door casually and looked inside. Slippers for the room and sneakers that seemed to belong to the staff were left.
Takako felt like I found treasure.
The sneakers were a little big, but now I can walk without worrying about the glass much.
I put on sneakers and slippers with both hands one by one. I walked slowly to the kitchen as it was.
The kitchen built-in cooktop was not damaged and the drawer remained closed. When I opened the drawer made of stainless steel, some dishes and cutlery remained in.
How lucky it is. Because I thought that there was nothing, it gets pleasant enough to jump up because there is something that should be obvious.
I found Konan's small note in it. Take notes while holding down the feelings of caress.

Thursday, September 6, 2018


That's where the diary was over. It is certainly the day when I went to the world beyond the mirror. The diary included menus for breakfast and lunch.
There is no note of dinner.
Did something happen on September 6? In the afternoon when I went to a different world.
Takako put the pencil case containing the notebook and writing utensils on the table. Strangely, this drawer has not been devastated. It was surprising as I had an image similar to the situation of my room and children's room.
Perhaps there may be something else. Takako explored another drawer on the cooktop, a cleaning tool holder and a locker.
I do not know if luck or not, but there were several aprons and a cloth of cloth, a bucket of tin, a broom of bamboo handle, and white cooking clothes for cooking.
It might be very twisty. It is truly appreciated that there was cooking clothes.
Takako put on the cooking suit immediately on the spot and put the cloth in his pocket. I wrapped tableware and cutlery with an apron and put it in a bucket with a notebook. I held a broom with one hand and decided to look for something even more. I opened a big refrigerator in the cooking room and there was nothing in there. The power supply is off. The refrigerator was dark, it looked like a pointless box.
I went sailing and twisted the water supply. Sure enough, there was no water.
Takako decided to accept the fact as it is without so much disappointment.

There is no water, electricity can not be used. Of course we can not use gas either. Perhaps the lifeline is not functioning.
Most of the things are brought out. And for now there is no one.

Takako was calm and calm. Several months have passed since there was not really anything until a while ago. Although the body is the original human body, I thought that it would manage somehow if there was anything to wear.
It seems that the rain breeze will go anywhere. I can make a fire and get warm.
Let's stay here this way tonight, pick up dead leaves and tree branches in a bucket and wake the fire in the room. The window glass is broken and the building is concrete on both the wall and the floor.

As a precaution, Takako decided to explore another room. Bathroom, medical office, staff's duty room, toilet, office. Takako looked through all the rooms in the facility.
There were several medical instruments in the medical office. It is such a stethoscope or stainless steel tray. And I found a white coat. In the office there were office writing instruments, stationery and documents. There were also small scissors and glue and stapler.
Paper documents become fuel. Even if a plant dies it is itself a mass of energy. Turn on fire and give off heat.

There must have been a well in the shrine in the neighborhood shrine. It is necessary to check whether there is water.
Takako roughly envisioned things that seemed necessary so that he could stay in this place for several days.
I made a note of Mr. Konan's notes on the idea. For now, I got it now that I got it somehow.

There is no choice but to live this moment. It is surely linked to somewhere.
I am not dead. It is alive.
That surely is inevitable in this world. Whatever world this world is, I am living here.
This is my world. I have something to do here.

Takako aims to live a feeling.
It is also a simple desire.

"The purpose is to live" The word which Aki was saying comes true.
In this situation, it may really be "to live".
Thinking can become an obstacle at such a time. Thoughts may bring negative. That does not help anything.
Thinking negative is a waste of time and energy.
Takako listens to the voice of the heart and the voice of the body.

No wonder and I did not feel hungry. I learned about Aki about getting energy from outside of food in other places, and in fact it was wonderful way to gain energy.
To hit the sun is one of that and touching living things is one of them.
The sun gives infinite energy. Creatures are kept alive by the sun. The heat and light of the sun will breathe into your body from your eyes and skin and nourish your energy.
Exchange of energy begins just by touching living beings. Exchange and circulation began across individual walls. And each one tries to keep a small amount. It starts flowing from one with a lot of energy to the other with less energy. Sharing energy and complement each other.
The plants are tangled with roots and always live with individuals holding hands. The network connects with other networks, creating a huge energy network.
Touching a single tree can touch its huge energy. Healing energy. Plants are opposite to animals, they drain poison and give peace. That energy is very quiet and powerful.

Takako decided to collect what he got in a relatively rugged kitchen and lay it there. It was on the first floor and there were several entrances. If you float the linoleum flooring on the floor, it will be concrete just below, and firewoods in the bucket are likely to burn. If that comes to mind, the fire will burn even in the sink.

Takako decided to wear a white coat on cooking clothes and go out into the garden. It is to pick up dead branches in a bucket and hit the sun's light. When I looked at his appearance objectively, I thought that something other than sneakers was completely white and like a beast of winter hair.

Takako gently opened the front door with a white appearance. The afternoon sun is gently shining the garden. Clearly the trees of the garden were growing better than I saw last. It was a feeling that nobody was maintaining for several years. There were a lot of dead branches and dead grass falling around.

Takako sat on the porch of the entrance and looked at the rough garden for a while. Rintaro and Chihiro were sitting well. They often sat here and were looking at the garden. I did not go to school, and I was talking about something to build up the two worlds.

Will they convey something to them? If you are living somewhere, will it be like telepathy?

Takako decided to meditate by agurating like Aki taught. I wanted to calm down my mind once before taking action. Close your eyes and turn consciousness to Taneda. I feel the flow of energy at the center of my body.

Messages from outside and messages from inside intersect. There is no negative feeling for the two people. I am afraid that I do not have to worry why. I just want to know where I am.
"Where are you guys now?"
There is no reply. I can not hear anyone's voice. What I can hear is my voice. "The two of them are all right, I do not need to worry about anything." Takako asks myself "Where are the two of us? Is it with everyone else?"

I have an unconscious voice.
It is the voice of Aki.

"Temari", everyone is "stagnant"
"What is" tamari "? Where is it?"
"Tamari" is the entrance of the dragon, to get in the shiki "

My unconsciousness will not answer any more. "Where is" stagnation "?
"It's a place I met with Miwa"
I explore memories of unconsciousness. Aki 's memory, Aoi' s memory. My unconscious memories are usually out of reach.

Takako travels to the area of ??unconsciousness. Stop thinking and open sensation only. Sound, temperature, smell, wind. Close your eyes and open a sense other than a visual sense. Just open. I do not even feel anything.

Unconscious does not exist in the category of thinking. It is different from thinking. It is a world of sensation.

"Rokko Mountain" Takako connects the inspiration that came floating and reads its memory.

"There are everyone there,"

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