趣味で歌と小説と詩を掲載させていただいてます。

四季の輝き 第14話 Shine of the Four Seasons Episode 14




第14話


貴子が施設に戻ってくると小南さんが畑の手入れをしていた。「ただいま」と貴子は言った。
「お帰り、息抜きはできた?」と小南さんは聞いた。
「ありがとうございます、おかげさまでほっと一息つけました」
「あなた最近、深刻な表情を時々しているから少し心配していたのよ。凛太朗くんのことはあまり案じなくても大丈夫だと思うよ」と小南さんは言った。
「凛太朗はまだ精神的に不安定だと思うんです、この現実にうまく馴染んでいないというか」
「そうね、あの子の心にはうまく機能していない部分があるのかもしれないわね。でも私がつくる料理で身体と心の毒出しをしていけば大丈夫よ、身体から毒が出ていけば心も洗われるのよ。ついでにあなたの心もね」
「私もですか?」
「凛太朗くんが持ち直してから、あなたの表情に何か疲れが見て取れるのよ」と小南さんは言った。

「私は最近、自分が闇を抱えている事を実感してるんです。とても深い闇」と貴子は言った。
「闇を抱えてない人間なんていないじゃない」と小南さんは言った。
「そうなんでしょうね。でもいつかその闇に支配されてしまうんじゃないかって心配なんです」
「私も昔、大きな闇を経験したのよ。いつだって闇は戦いをやめた途端に自分を食い尽くすの、私の場合はそうだった。料理を作ることで私は今もそれと戦ってるのよ」
「お子さんのことですか?」
「そうね、でもやっと自分を幸せにしてあげられて、その余力をおすそ分け出来るようになったわ。ここの子供達はみんな自分の子供のように思うもの」
「私もです。ここの子供達はみんな自分の子供のように思う。だからその子供達を自分の闇が傷つけないか心配なんです」
「恐れはそれを招くんだよ。起こっていないことを恐れても仕方がないよ。あなたは闇を抱えているけど、それは誰も傷つけるものじゃない、そう思うんだよ」
「そう思いたい」
「思いが現実を創っていくんだ。私はそうだった」と小南さんは言った。「あなたにもそれがわかるはずよ」
「小南さんもそんな風に言うんですね。私は何もわかっていないと思います。いざ闇を抱えるとそれに翻弄されそうになる弱い自分がいる」
「気分が沈んだらそれを自分でよいしょって持ち上げるのよ、子供達の方がそれがうまいわ。見習えばいいのよ」と小南さんは言った。「今日はトウモロコシと瓜が食べごろだから後でみんなで食べようね」と言って畑仕事に戻っていった。
「ありがとう、後で手伝う」と貴子は言った。


毛穴がざわつく。玄関の扉を開けながら貴子は思った。

全身の毛が触覚になったような感覚だ。洋服が全身の毛に触れて気持ちが悪い。 靴を脱ぎ、その場で靴下も脱いだ。ひんやりした床が少し不快な感触を和らげる。
部屋まで歩く間、毛根の感覚はどんどん増していき、やがて服が耐えられないほどの不快感に変わる。部屋に入るとすぐに服を全部脱ぎ捨てた。全身にびっしょりと汗をかいている。汗臭い匂いがする。何か獣のような匂いもする。嗅覚が鋭くなっているんだろうか。汗で湿った服を全部洗濯機に放り込み、シャワーを浴びる。お湯を頭からかぶる。洗っても洗っても獣臭さが取れない。頭の先から足の先までお湯で丹念に洗い続ける。洗えば洗うほど獣の匂いがきつくなっていく。
どれくらいの時間が経ったのだろう、30分くらいだろうか、もっとだろうか、腕が疲れてのぼせてきてお湯を止めた。
転がり出るようにシャワーから出て、バスタオルにくるまった。バスタオルの感触が気持ち悪い。
何が起こっているんだろう。部屋にある全身鏡で確かめる。背中の上の方が一番ざわついている。まるで背毛が生えているみたいだ。鏡で背中を見てみる。毛はまだ生えていない。獣くさい。このまま私は獣になってしまうんだろうか。
正面を向きその全身を鏡に写してみる。
傷つきやすそうな肌が露出している。
「こんな体では自然の中では生きていけない。こんな肌はすぐに傷つく、皮が柔らかすぎる。毛も少なすぎる。野生動物でこんな生き物はいない」

ふと足を見ると足の甲に黒い毛がびっしりと生えていた。爪が鋭く尖り黒く変色している。足に伸ばした手も同じように変化していた。
「ダメだ獣になってしまう」
貴子は鏡の中の自分がみるみるうちに獣になっていく様子を呆然と眺めた。変化はあっという間だった。変わってしまった自分の体を見て立っていられなくなった。鏡に手をついて体を支える。

鏡の中の自分がその手首を握る。恐怖でその場に座り込む。声が出ない。鏡の中の獣の手はそのまま手首を握りしめている。そしてそのままゆっくりと鏡の中に引き摺りこまれる。抵抗したいが身体が動かない。身体が鏡の世界に移行していく。
こちらの世界が反転した世界。真逆の世界。


獣の手が離れる。
貴子はどこかの草原に座り込んでいる。
ここはどこなんだろう。
「ここはあの鏡の前だよ」と獣は言った。
「あなたはアキなの?」と貴子は言った。
「そう。あたしはアキ、こちらの世界の」とアキが言った。
「この世界は何なの?」
「この世界は君の世界と同時進行しているもう一つの世界なんだ。違う次元の。ここも地球なんだ」
「ここは御影なの? 建物も何もない」
「御影っていうのか、君たちの世界では、いい地名だね。あたしたちの世界では大山のふもとって呼んでる」
「どういう世界なの?」
「真逆の世界。建物もない、街もない、服も着ない、あたしたちがこの世界の人間なんだ」
「この世界の人間?」
「そうさ、立てるか?」とアキは言った。「大山に登ってみよう」

アキは貴子の手をとって立ち上がらせた。
貴子は獣の足でしっかりと立ち上がった。体が軽い。
「あたしたちは足が速い、君のその身体も同じく足が速い。着いてきて」とアキは言い、山の方に向かって草原を走り出した。貴子は少し戸惑ったが意を決してアキの後を追った。アキはぐんぐんとスピードを上げた、岩や谷を跳ねるようにして駆け上がった。
貴子はこんなに早く走れる自分に驚いた。いくら走っても息が切れない。気分が高まっていく。
やがて目の前に崖が迫ってきた。アキは両手足で岩を掴み、どんどん登っていく。木を伝い、川を登って尾根に出た。
手近な樫の大木に登って辺りを見回した。山の下には海が広がっていた。
「あの海は大阪湾なの?」
「あの海は雫の海っていうんだ」とアキは言った。「龍がさらにシキの深いところに潜る場所なんだ」
「何もかもが違うのね」と貴子は言った。「あなたたちは何を食べているの?」
「あたしたちは何も食べないんだ。周りから少しづつエネルギーをもらっている」
「どういうことなの?」
「生き物はエネルギー体なんだ、植物もね。木や草や虫や小動物、風や雨みんなエネルギーなんだ、あたしたちはみんなそれを分け合うんだ」
「どうやって?」
「簡単だよ、弱っていたらそこに思いを寄せるんだ、気持ちを向けるんだ。自分が弱っていたら必ず誰かが気づいてくれる、そして少しづつ分けてくれるんだ」
「家はないの?」
「大地が家なんだ。この夏毛は雨も弾くし、冬毛は真っ白でとても暖かいんだ。氷河期がきても生きていける」
「この世界に人間は何人くらいいるの?」
「わからない。あたしたちは組織を持たない、誰も数なんて把握していない。でも多分そんなに多くない、滅多に他の人間には出会わない。あたしたちは単体か、つがいとその子供という小さな家族単位で暮らす。他の人間に会うのは遠くに行った時か、旅人がやってきた時くらいだ」
「毎日何をしているの?」
「遊んでるんだ、森を駆けたり龍に乗ったり。シキはとても綺麗な星なんだキラキラと輝いていて全てが清潔なんだ、澄み渡ってる」
「本当に綺麗な景色」と貴子は言った。
淡路島の方角から何か大きな波動が海を越えて伝わってくる。「島から何か波動が来る」
「あの島は神聖な場所なんだ、始まりの場所なんだ」とアキは言った。
「あなたたちの世界ではってこと?」
「君たちの世界でも」

「私たちの世界は今ひどいことになっているの、環境は破壊されて気候が変わってきているし戦争も無くならない。病気で皆が死んでいくの。あなた達みたいに遊んで暮らせないの」
「だから真逆の世界なんだ。そんなに苦しまなくても本当は生きていけるんだ、生きるってすごく楽しいんだ。遊びなんだ」
「何も食べないならそれは可能なのかもしれないわね。天敵とかはいないの? 熊とか狼とか?」
「もちろんいる、油断していると食べられてしまう。動物は何かを食べるからね、でもあたし達はヒグマくらいの体力がある」とアキは言った。「逃げ足も速い」
「あなた達は何も傷つけないの?」
「いや、多分何かを傷つけている、知らないうちに。でも命や魂は傷つけない、傷つけた分だけ傷つくことを知っている」
「ここは進化した世界なのかしら?」
「ここは君たちの世界とは別の次元の世界なんだ。君たちの時間軸の続きじゃない。過去でも未来でもない。真逆の世界なんだ」
「この世界は平和なのね」
「とても」とアキは言った。「たまに遊びに来ればいい、鏡の前に立てばあたしが迎えにきてあげる」
「ありがとう。ねえ、この世界にも私はいるの?」
「もちろんいるよ、でも君がこの世界に来ている間は決して会えないんだ、もう一人の自分には」
「そうなのね」と貴子は言った。満ち足りた気持ちがした。不思議だけれど気持ちがいい世界だ。
静かだ。鳥のさえずりと風のざわめきと水の流れる音、木々が擦れ合う音。それくらいしか聞こえない。

この世界には車もないし信号も列車もない。工事もしていない、何も壊さない。
ただそこに暮らしているだけだ。
ここにいるだけで癒される。
「何も壊す必要なんてないのにね」と貴子は言った。
「そうだね」とアキは言った。




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Episode 14


When Takako came back to the facility, Konan was caring for the field. "Today," Takako said.
"Did you go home, could you relax," Konami asked.
"Thank you, I am relieved relieved relieved"
"You recently have been worried a bit because they sometimes have serious expressions occasionally, I think it's okay if you do not really care about Rintaro-kun," Konan said.
"I think that Rintaro is still mentally unstable, is not it familiar with this reality"
"Well, it may be that there is a part that does not work well in that child's heart, but if you do poisoning your body and mind with the dish I make, it will be fine, poison comes out from my body You can wash your mind, as well as your heart at the same time.
"Am I also?"
"After Rintaro-kun picks up, you can see something tired of your expression," Konan said.

"I recently realized that I had darkness, very deep darkness," Takako said.
"There are no people without darkness," Konan said.
"I guess so, but I'm worried that someday I will be dominated by that darkness."
"I also experienced a great darkness in the past, the darkness always eats me myself as soon as I stop fighting, in my case I am still fighting it by making cooking Okay.
"Is it about your child?"
"Well, but I finally made myself happy, I got to be able to distinguish that margin.The children here all think like my own children"
"I am also, all the children here think like my own child, so I wonder if the darkness will hurt their children."
"Fear invites it. Even if you are afraid of what is not happening you have no choice but you have darkness, but that does not hurt anyone, I think so.
"I want to think so"
"My mind creates reality, I was," Konan said. "You should understand it"
"Konan says like that, I think I do not know anything, there is a weak self who is going to be at the mercy of it when having darkness"
"When the mood sinks, lift it up for yourself, the kids are good, you can practice it," Konan said. "Today I will eat corn and melon at a later date so we can eat together later" and returned to the field work.
"Thank you, I will help later," Takako said.


Pores are rough. Takako thought opening the door of the entrance.

It feels like the whole body is touching. My clothes touch the hair of the whole body and it feels bad. I took off my shoes and took off my socks on the spot. A cool cool floor relieves a little unpleasant feel.
While walking to the room, the feeling of the hair root increases more and more, and eventually the clothes change to uncomfortable feeling of discomfort. I pulled out all my clothes as soon as I entered the room. I'm getting sweaty all over my body. I smell sweaty. I smell something like a beast. I wonder if the sense of smell is sharp. I throw in all the sweaty clothes to the washing machine and take a shower. I put hot water from my head. Even if you wash it, you can not get the smell of beasts. Continue to wash carefully with hot water from the tip of the head to the tip of the foot. The more you wash, the smell of the beast becomes tighter.
How long did it pass, about 30 minutes, whether it was more, my arm felt tired and stopped hot water.
I got out of the shower to roll out and wrapped in a bath towel. The feel of the bath towel feels bad.
I wonder what's going on. Check with the whole-body mirror in the room. The top of the back is the most rough. It looks like back hair is growing. I looked at the back with a mirror. Hair has not yet grown. Beast. I wonder if I will become a beast like this.
I turn to the front and try to copy the whole body in the mirror.
The skin that is likely to get scratched is exposed.
"In such a body I can not live in nature, such skin will soon get hurt, skin too soft, too little hair, wild animals such a creature is not

Suddenly when I saw my legs, my hair on the instep of my feet grew densely. The nails are sharp and sharp and discolored. The hands that stretched out to the feet also changed in the same way.
"Become a useless beast"
Takako spectacularly looked at how he became a beast while she was looking into the mirror. The change was in a blink of an eye. I could not stand standing looking at my own body that changed. I hold my hand on the mirror and support my body.

I hold on my wrist in the mirror. Sit down on the spot with fear. I've lost my voice. The hands of the beast in the mirror are clasping the wrist as it is. And drag it slowly into the mirror as it is. I want to resist but the body does not move. The body moves to the mirror world.
A world where the world is reversed. True reverse world.


The hands of the beast leave.
Takako is sitting somewhere on the meadow.
Where is this place?
"This is in front of that mirror," the beast said.
"You are Aki?" Takako said.
"Yes, I am Aki, this world," Aki said.
"What is this world?"
"This world is another world that is going on simultaneously with your world, a different dimension, this is also the earth"
"This is Mikage? There is not any building"
"Mikage is a good place name in your world, in our world we call it at the foot of Oyama"
"What kind of world is it?"
"Truth-to-reverse world, no building, no city, no clothes, we are people in this world"
"Is this human being in this world?"
"Yes, can you stand it?" Aki said. "Let's climb Ooyama"

Aki took up the hand of Takako and got up.
Takako stood up firmly with the beast's feet. The body is light.
"We are fast with your feet, your body is also fast with your feet, come on!" Said Aki, who ran towards the mountain towards the mountains. Takako was a little puzzled, but never chased after Aki. Aki got up quickly, rushed up rocks and valleys and ran up.
Takako was surprised to find himself able to run so fast. No matter how much I can run I can not breathe. My mood rises.
A cliff nears the eyes in due course. Aki grips the rock with both hands and feet, and climbs steadily. I went through the trees, climbed the river and went out to the ridge.
I climbed the big tree of the nearby oak and looked around. The ocean has spread under the mountain.
"Is that ocean an Osaka bay?"
"That ocean is a sea of ??drops," Aki said. "It's the place where the dragon dives further in the deepest place"
"Everything is different," Takako said. "What are you eating?"
"We do not eat anything, we receive energy gradually from around"
"What do you mean?"
"Creatures are energy bodies, plants, trees, grasses, insects and small animals, wind and rain are all energy, we all share it"
"How?"
"Easy, if you are weakening, turn your mind towards it, turn it on. If someone is weak, someone will notice it and some will be divided little by little.
"Is there no house?"
"The earth is home, this summer hair plays rain, winter hair is pure white and very warm, even if the ice age comes, I can live"
"How many people are in this world?"
"I do not know, we do not have an organization, no one knows the number, but probably not much, rarely encounter other people We are a single family member or a small family unit I am living with other people, meeting other people when I go far, when the traveler came "
"What are you doing every day?"
"I am playing, running in the forest and riding a dragon, the shiny is shining like a beautiful star and everything is clean, it's clear and clear"
"Really beautiful scenery," Takako said.
Something big wave propagates from the direction of Awaji Island across the sea. "Something is coming from the island"
"That island is a sacred place, it's the beginning place," Aki said.
"What's in your world?"
"Even in your world"

"Our world is now terrible now, the environment has been destroyed, the climate is changing and war does not go away, everyone will be dead with sickness You can not live playing like you guys "
"So it's a true opposite world, you can really live even if you do not suffer so much, living is a lot of fun, it's fun."
"It might be possible if you do not eat anything, is not there a natural enemy, a bear or a wolf?"
"Of course, they are eaten if they are not careful, because animals eat something, but we have physical strength as brown bear," Aki said. "Runaway foot is also fast"
"Do you not hurt anything?"
"No, probably hurting something, I do not know, but I know that life and soul will not hurt, I will hurt as much as I hurt."
"Is this the evolved world?"
"This is a different dimension world from yours.It is not a continuation of your time axis.It is neither past nor future It is a true opposite world"
"This world is peaceful"
"Very" Aki said. "I only need to come and visit, if you stand in front of a mirror I will pick you up."
"Thank you. Hey, are there also in this world?"
"Of course I do, but you never meet while you are in this world, to the other myself"
"That's right," Takako said. I felt full of feelings. It is strange, but a pleasant world.
It's quiet. Birds' singing, the noise of the wind and the sound of the water flowing, the sounds where the trees rub against each other. I can hear it only.

There is no car, no signal, no train in this world. I have not done any work, I will not break anything.
I just live there.
I am healed only by being here.
"There is no need to break anything," Takako said.
"That's right," Aki said.

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